テストプロセスの改善 JaSST Tokyo 2018
JaSST Tokyo 2018のテストプロセス改善系セッションについての感想です。
受講したセッション
- B2 はじめてみようテストプロセス改善
- E4 ボトムアップによるテストプロセス改善 ~TPI NEXTを体験してみよう~
テストプロセス改善モデル概要について
テストプロセス改善技術ガイドがASTERから公開されるそうです。
関東が梅雨入りするまでには公開する予定らしいです。
詳細はガイド待ちです(非会員でも閲覧できるのかな?)
改善モデルは、段階モデルと連続モデルに分類できるそうです。
段階モデル | 連続モデル | |
---|---|---|
概要 | 組織のプロセス成熟度合い毎に改善すべきエリア・ゴールがある | 最初から全エリアを対象にしていて、各エリア毎に成熟度合いが設定されている |
メリット | 着手するエリア・順序が明確 | 改善対象を柔軟に設定できる |
デメリット | 改善順序が組織にフィットしているか不明 | 最適な順序を考える必要がある |
プロセス例 | TMMi | TPI NEXT |
ISO33063も連続モデルだったかな?
各テストプロセス改善モデルについて
ざっくり概要解説がありました。
TMMiは、CMMiのテストプロセス版で補完する形になっているそうです。
ISO33063は、ISO33020のプロセス能力水準軸とISO29119-2のプロセス軸をマトリクスにした形式で改善していくため、ISO33063を理解しようと思うと、33020と29119-2を理解する必要があるそうです。
TPI NEXTは改善エリアと成熟度のマトリクス形式で、ボトムアップで改善していくモデルになっているそうです。
各モデルは、共通の改善エリアと固有の改善エリアがあるそうです。
例えば、TMMiとISO33063はレビューも改善対象ですがTPI NEXTにはありません。しかしTPI NEXTはプロセス以外が対象になっているなどの違いがあります。
プロセス改善活動の勘所
セッションの概要は以下の通りです。
なぜ、テストプロセスの改善が必要なのでしょうか?
それはテスト工程での不具合を抑制するため、テスト観点でプロダクトを作る必要があるからです。
しかし課題対策をいきなり始めても品質はなかなか上がらず、負のスパイラルに陥ります。
プロセス改善にもスキルが必要ということです。
改善のステップは3つ
- アセスメント
- 計画
- 実行(コントロール・フィードバック)
アセスメントの勘所
- 着手が遅い
→ 導入で悩まずにとりあえず試すことが必要です - 認識合わせを怠る
→ 一人で実施せずに周囲の意見を聞くことです - 1回きりで終わってしまう
→ 何度も実施しましょう
主導する立場にアサインされたら一人で考えこんだり一度の実施で終わってしまうことなどはよくありがちですね。
プロセス改善計画の勘所
- 要求・目的・ゴールが誤っている
→ 関係者の要求を確認しましょう - 関係者との調整怠る
→ ステークホルダーには事前に話を通しておきましょう - 実施を意識していない計画
→ 無理のない計画と代替手段の検討も行っておきましょう
当たり前のことですね。
実行の勘所
作業が停滞してしまう
→ 定期的な確認を行いましょう状況が変わって改善がうまくいかない
→ 見直しを検討しましょう改善完了で満足してしまう
→ さらなる改善をすべきです
こちらも当たり前のことですね。
所感
勘所はテストプロセスの改善に関係なく業務で必要な部分だと思います。テストプロセス改善としての勘所という感じの内容はなかったと思います。
TPI NEXT
テストプロセス改善研究会の方が翻訳してくださった日本語版アセスメントツールがあるので、実践する方は SOGETI社 よりダウンロードしてください。
使い方は、質問シートにY/Nで回答すると、マトリクス図とグラフが現状を判定してくれます。
成熟度は3段階あり、コントロールレベルが関与しているか、効率化レベルが貢献しているか、最適化レベルが開発活動全体の重要部分になっているかです。 質問が「テスト担当者は~」という感じなのでテスト担当者が関与、貢献、重要ポイントになっているかということだと思います。
ワークショップの内容は、例題をもとに関与度エリアの成熟度を検討するというものでした。
ここで、A2セッションのアセスメントの勘所が生きてきます。
例題が「テストマネージャ」を対象にしていたのに対し、TPI NEXTの質問は「テスト担当者は」となっています。マネージャは担当者か?担当者だという意見とマネジメントの立場だから担当者が別にいるはずでそいつが関与していないなどと割れます。 またプロジェクト計画への関与においても、がっつり関与してこそ「関与している」と評価すべきなのか、ほんの一部分でも関与していれば「関与している」と評価すべきなのか意見が分かれました。
所感
チームを評価する点については、質問に答えるだけでマトリクス図とグラフが判定してくれるので簡単に始められると思います。
また、販売ブースにて本が割引で販売されていたので買いました。自チームで一度やってみたいと思います。